置いて行かれる程ゆるやかなこの時間は


どこへ行くでもなく、ゆるゆると流れる時間は、ゆるやかすぎて穏やかにみえる。それでいい。それがいい。静かにグラスをかたむけ、鳴るでも無い携帯電話を肌身離さず。ぼんやりと、この向こうを眺めている。

そのドアの向こうには、何があったんだっけな。


世界は透明な光を反射して放つ色と形で出来ている。反射する能力が強い程、眩しく輝く。吸収する能力が高い程、暗く深い。そんな世界で生きている。できた影が色を鮮やかに湧き立たせ、光を彩る。形を生み出し、消して行く。扉を次々に開けて、塗り替えて行く。そうして出会い、別れて行く。ひとも、光と影で出来ている。そこに扉の鍵がある。かもしれないね。